銀行カードローンは本当に過剰貸し付けしているのか?
銀行が過剰貸付だって!?こないだ審査に落ちたばっかりだぜ、そんなの嘘だ!
と、最近銀行カードローンで審査落ちしてしまった方は思うかもしれませんが、一応借り入れ側の返済能力を上回る銀行による貸付の事実はあったとされています。
例えば、本来カードローンでは安定した収入がなければ、審査通過しないはずが、どうも無職の顧客に貸付をしていたり、本人の年収が200万円ほどのところ500万円の貸付を可能にしていた。という事例があった。と、ある情報誌では述べられています。
銀行カードローンは、2006年頃の多重債務者が社会問題になった際の対策として、改正され施行された貸金業法の総量規制の影響を受けません。
その為、収入証明書の提出や年収による貸付額の制限などは、法的に何も拘束力がない状態のまま現在まで貸付業務が行われていたわけです。
勿論、その様な部分の指摘をされないように、銀行としても一定の基準は設けていたでしょうし、実際誰でも彼でも貸付をしていた。というわけでもないと思います。
では、どうして今銀行カードローンによる過剰貸し付けが指摘されたか?といえば、自己破産件数が増加した要因として懸念されたからです。
法改正以降、減少傾向にあった自己破産件数が2016年になって増加したそうです。
その要因が、銀行の総量規制対象外による過剰貸し付けでの多重債務者が増えたのではないか?と日弁連が指摘し、公表したことが事の発端となっています。
マイナス金利分を取り戻す為のカードローン?
確かに、昨今次第に銀行カードローンの売り込みが加速している感はありました。
特に、今回過剰貸し付けの兆候として指摘されている、収入証明書の提出や専業主婦(主夫)への貸付はサイト管理者も納得の点です。
消費者金融では、1社から50万円以上を借り入れる際に収入証明書の提出が義務化されていますが、銀行の場合、最近まで200〜300万円までは不要という設定をしていました。
ただし、とはいうものの、銀行も各行基準に違いはあれ、審査の際の年収制限は設けていましたし、過去の顧客データの統計による属性収支の確認も、申し込み情報と在籍確認などで精査はしていたはずです。
そうでなければ、銀行カードローン審査に落ちる方がいたり、銀行審査はハードルが高いなどという情報がいつまでも身近に見聞されるはずがないでしょう。
しかし、サイト管理者もずっと様々なカードローンを紹介して思っていたことの一つに、専業主婦(主夫)が配偶者の収入で借り入れが出来る銀行カードローンの仕組みが挙げられます。
原則、カードローンは契約者自身に安定した収入がなくては契約できません。
ところが、一部の銀行カードローンについては、配偶者に収入があることが認められれば、収入のない専業主婦(主夫)の借り入れが可能となっています。
配偶者の方の収入証明書を提出する仕組みなら、合点がいきますが、そうではなく同意書すら要らない。という条件での貸付には、流石に疑問を抱かずにはいられません。
その様な点は、返済能力・責任を伴わない過剰貸し付けといわれても致し方ないでしょう。
ただ、銀行は何故そこまでして銀行カードローンを売り込んでいきたかったか?といえば、やはり先のマイナス金利の影響が否めません。
というのは、マイナス金利は簡単にいえば、銀行が企業への融資などを積極的にすることを見越して、日銀に残高を預けてもメリットがないようにしたものです。
その為、銀行は預けておいて不利益になってしまうよりは、融資に回したい姿勢になったわけですが、肝心の銀行による大口融資の需要が現在の日本社会にはなかったのです。
度々、銀行融資が受けにくいといわれている、中小企業は借り入れをしてまで事業を伸ばす気力も人材もなく、少し銀行から事業資金が借りやすくなっても重い腰を持ち上げることはありません。
既にそれなりの利益が安定してある大手企業は、その安定を守れば銀行融資を受けるまでもないでしょう。
大本の日銀が金融改革!と声を上げても、下層は付いていく事が出来なかった構図がここにきて顕著になってきました。
しかし、そこでマイナス金利政策自体が不利益の原因だと批判するのはお門違いなので、ここではこれ以上その点について言及しません。
要するに、一つ銀行側にも已むに已まれぬ背景があったことは、世間も理解しておく必要があるといえるでしょう。
また、貸し付けは借り入れの申込がなくては、出来ません。
つまり、銀行による過剰貸し付けが起こってしまうほど、金銭状況が如何ともしがたい人々が、借り入れ希望者すべてではないにしても何割かはいる事をこそ、対策が必要な事態といえるのではないでしょうか?
銀行が今回の過剰貸付指摘により、万が一カードローンで稼ぐことが出来なくなってしまうと、それはそれで消費者にも他の部分でしわ寄せが来ます。
というのは、銀行カードローンでは貸し付けに際する利息が利益となるわけですが、それが得られないとなると他で補うしかありません。
そこで考えられるのが、口座手数料の値上げです。
カードローンの場合は、契約をしている方だけがキャッシングをし利息を払えば良いのです。
ところが、口座手数料の場合は時間外手数料などATMでの入出金時に、誰でも生じる可能性が高いといえます。
自身のお金を好きな時に口座から引き出せず、あまつさえ手数料もかかるとなると、それこそ一般の方が銀行利用する意味がなくなってしまいます。
過払い請求が出来なくなってきている!
もう一つ、銀行の過剰貸し付けが指摘される要因となったものに、自己破産件数の増加があることは冒頭で述べた通りです。
しかし、それに関しては、銀行の貸付状態云々よりも注目したい点があるといえます。
それは、法改正以前のグレーゾーン金利分の過払い請求期間の終了期限です。
過払い請求は債務の最後の返済から10年以内のものしか出来ません。
今年は2017年、2006年法改正当時、もし借り入れをしていて、利息過払いの事実が確かにあったとしても、もう金融機関に請求することは不可能です。
すると、改正前からずっと借金をしている人の中には、既に過払い請求の権利を失ってしまった方も出てきます。
多重債務者が過払い請求で立ち直るかもしれない!というのは、過払い請求の訴求のメリットとしてよく取り上げられてきましたが、それがここにきて出来なくなってきているのです。
そこで、専門家の中には自己破産件数の増加の原因は、過払い請求の期間切れもあるのではないか?と指摘する方がいます。
過払い請求で取り戻した、払い過ぎた利息は現存する債務に充てて相殺する手続きを踏むことが可能です。
ところが、それが出来なくなってきているという事は、そのまま自己破産などの債務整理をするしかない方が出てくるでしょう。
過払い請求の返還が利益を上回り、倒産していった消費者金融もあるほど、グレーゾーン金利の余波は影響がありました。
その様な点も考慮すると、自己破産件数の増加は、過払い請求の期限が起因である可能性は高いといえそうです。
銀行カードローンの自主規制の内容とは?
2017年5月から過剰貸付の指摘の色が濃くなり、2017年7月現在、カードローンを取り扱う各銀行は自主規制を始めました。
その為、今までと貸付条件が変わった銀行カードローンが多くあります。
特に、収入証明書の提出や貸付可能額の精査に関しては、貸し付け側の銀行だけでなく、借り入れ側の消費者にも影響がある変更といえるでしょう。
主に銀行が自主規制し始めた内容を簡単にまとめると以下の通りです。
- 総量規制を基準にした収入証明書の提出。
- 総量規制の年収制限を基準にした金額での貸付。
- 総量規制対象外という広告表示取りやめ。
- 下限金利を基にした低金利誇大広告の取りやめ。
- 安直な借り入れを煽動する融資スピード協調の取りやめ。
- 契約者の収入と融資比率の確認の厳格化。
- 保証会社の代位弁済率などの定期的な確認。
- NEW2018年からの即日審査・キャッシング禁止の方針。
- NEW2018年からの「貸付自粛制度」導入予定。
銀行過剰貸し付けの指摘は、主に貸金業法に触れない事で消費者の返済能力を上回る貸付が、銀行カードローンでは可能である点に主に向いています。
そこで、法規制を新たに設けるまでいかないにしても、原則、銀行カードローンでも総量規制に準ずる貸付をするような対策が進められています。
また、消費者の借り入れへの意識ハードルをさげるような宣伝・広告も順次、撤廃・修正されています。
審査の厳格化にも取り組む方向を示している銀行もあるようですが、中には自行の基準を現時点以上に引き上げることは難しい。と難色を示している銀行もあるようです。
そもそも、銀行カードローンの審査は、保証会社である消費者金融や信販・カード会社が中心となって行っていることが多いです。
すると、既に総量規制の下にある状態で、貸金業者として営業している保証会社としては、銀行カードローンの保証料も重要な収益である為、審査基準の引き上げをするのは確かに厳しいといえるでしょう。
銀行は即日審査・即日キャッシングが出来なくなる!?
2017年9月15日に新聞社各社が銀行の即日融資取りやめの方針に関して報じました。
発表によると、銀行カードローンは2018年1月から、審査の際に申し込みをした人の情報を警察庁のデータベースで照会する工程が新しく組み込まれる為、審査に数日要するという事だそうです。
審査に数日かかるので、今までのように銀行から即日キャッシングをする事が2018年から出来なくなります。
何故、警察庁データベースで個人情報を照会するようになるのか?
というと、一連の過剰貸付の中に反社会勢力に属する人に貸付していた事実が浮上した事が主な原因と言われています。
2018年1月以降は、今後銀行へ申し込んみ当日中に審査を完了させ、その日のうちに融資を受けるという事は出来なくなってしまう可能性が非常に高いです。
その為、即日キャッシングを希望する場合は消費者金融の利用を検討することをオススメします。
また、即日融資禁止と同時に「貸付自粛制度」というものも取り入れられる予定です。
「貸付自粛制度」は、契約者本人又は家族から追加でのキャッシングを停止するよう申し出ることが出来る内容となっています。
本人の自己申告なら特に問題ないでしょうが、家族からの申し出でもキャッシングができなくなる点は、不安があるといえるでしょう。
「貸付自粛制度」開始後は、内緒でキャッシングしていて家族ともめるといった事例は沢山出てくる可能性が否めません。
過剰貸付の指摘から、様々な自主規制を講じてきた銀行ですが、即日審査や即日融資が出来なくなるのは、貸付側にとっても借り入れ側にとっても痛手といえるでしょう。
銀行カードローン審査は今後厳しくなる?
現在は、自主規制という事でそこまで過剰貸付指摘以前と審査ハードルが目に見えて変わっていることはありません。
その為、自身の属性に見合った金額で申込、信用情報に問題がなければ、銀行カードローンでもキャッシングは可能です。
ただし、収入証明書の提出に関しては、前の銀行カードローンよりも少額のキャッシングであったとしても必要なことが増えました。
つまり、総量規制対象外だからといって、以前のように年収以上のキャッシングが簡単に出来るようなことはないといえるでしょう。
ところが、もしも過剰貸付の今回の件で、貸金業法改正時のように法改正するまで事が及んだ場合は、銀行からのキャッシングが難しくなる可能性が否めません。
基本的に、ローンプランの中でもカードローンというのは金利が高めで利息が高く付き易いです。
銀行カードローンはしばしば低金利といわれますが、消費者金融カードローンやクレジットカードと比べた場合に低金利なだけといえます。
その為、もし明確な資金用途が決まっているなら、カードローンよりも低金利でキャッシングが可能な目的ローンなどの専用のプランで契約する事をオススメします。
また、消費者自体が民間金融機関でのキャッシングに頼り過ぎないようにする事も重要といえるでしょう。
キャッシングに頼る前に、他に方法がないか、地方自治体や国の補助金制度を利用できないかなど考える消費者の意識も重要といえます。